建築・不動産
VRの可能性と付随する問題
VRと言えば去年は『VR元年』とも呼ばれている。
PlayStationVRの発売により、ようやく大衆へより浸透してきたのではないか。
建築CG業界でのVRと言えば、実のところまだ殆ど展開されていない。
海外ではちらほらと実例もあるのだが、やはり国内ではまだまだといったところ。
何故か。
それはずばりお金の問題だ。
建築・不動産業界でVRを利用出来るシーンを考えてみると
・モデルルームやモデルハウスの代替としてVRを構築。
・プレゼン時や設計確認のためのVR
などがある。
基本的にCGパースは勿論、このような用途のVRというのは水物だ。
つまり、竣工されれば必要のないものになる。
昨今モデルルームやモデルハウスを作る代わりにCGを用いる場合もあるにはある。
だが訴求力としては断然物足りないし、実際にプリントアウトされたりムービーで観たりしようが実物には到底敵わない。
そこでVRというものが出てきたのである。
いざVRを導入してみようと思うと、そこにイニシャルコストの高さに気付く。
制作料金・動かせるための機材費・・場所代・常駐のオペレーターの人件費…
ミニマムで見積もっても数百万円は最低かかる。
しかも前述した通り水物である。
機材などは使いまわせたとしても、制作料金や人件費などは絶対にかかる。
そしてお客さんはひとりだけではない。常に数人から大型マンションにもなると多くの人が訪れる。
オペレーターや機材どーすんの?ってなりますよね。
アトラクションじゃないし、お客さんは並んで待ってくれない。
予約システムを作るのにも費用がかかる。
そうなると「いざ!」という訳にもなかなかいかないものだ。
それでも訴求力があるVR
多くのモデルルームやモデルハウスは1部屋・1タイプしか作られない。
しかもお金がかかっている1番いい間取りのもの。
「このマンションを買いたい!」というお客さんの多くは実際のモデルルームを観て
なんとなくで買っているのだ。
購入するタイプのものでなかったり、窓から見える眺望は想像でしかない。
そこにVRにニーズがある。
ひとまず費用の話は置いておいて、例えばマンション。
各戸の間取りを再現し、階層も用意。
エントランスやラウンジなどの共有部。
モデルルームで実際の素材や設備を確認してもらい、VRをあくまで補完として利用してもらう。
何よりお客さんが重要視するのは窓から見える眺望だろう。
引き渡し時に「予想よりだいぶ違った!!」なんてのはよくある話。
建築時に各戸の位置から写真を撮る必要はあるが、よりリアリティのあるものになる。
クレーム対策にもなりますし。
現実問題として、安く作りたい
ハイエンドを求めるとお金がかかるんですよ。本当に。
そんな中、大手事業主コスモスイニシアが面白い事をしている。
そこいらで安く売っている組み立て式のVRゴーグルを用いてモデルルームのVRをアプリで再現というサービスだ。
遠方地や時間外などでも手軽に体験する事が出来る。
こういった事ならあまり事例がなく、注目を浴びるだろう。
実現にはまだまだ課題が残る
以上のように、不動産VRを提供するには問題が山積している。
僕が思うにこれらが一般化するにはまだまだ何年もかかるのではないかという印象。
コストがまだまだ高い。
費用対効果に疑問が残る。所詮水物ですしね。
超高級マンションとかなら全然アリだとは思うのですが。
クリエイターの身としてみれば、早いうちに着手しておいた方がいい。
いつ何時こういった仕事が舞い込んでくるか分かりませんから。